『あきらめたら、そこで試合終了ですよ?』の落とし穴

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あまりにも有名なスラムダンク、安西先生の名言。


(※) スラムダンク 単行本8巻145ページ

でもちょっと待った。
どうしても引っかかるのは自分だけ?

念のために補足をしておく。
このコマだけが取り上げられることが多いけど、
実は前後の関係があってこの発言をしている。

「私だけかね…?
 まだ勝てると思っているのは………
 あきらめる?
 あきらめたら そこで試合終了ですよ…?」

      安西監督(湘北バスケ部)

   出典:『スラムダンク 第27巻』、井上雄彦、
               集英社、P147~148より
(※)出典:井上雄彦『スラムダンク』の名言47

安西先生はこの場面で、
まだこの試合に勝機があると確信してたからこそ、
こんな発言をしたんだと思う。

でもね、
どうもこの発言の意図を取り違えられて独り歩きしてる。

安西先生はあくまで試合の勝機を見越して言っているけど、
これが勝機の見えない状況だったらどうだろうか。

この名言を振りかざす人は頑張ってるんだと思うけど、
「頑張るために頑張る」を助長しているんじゃない?って場面を何回も見てきた。
残酷な話だけど、人には向き不向きがある。

昔、M-1グランプリを作った理由を聞かれた島田紳助が、

若手がガチンコで勝負できる場が殆どなく、売れてなければチャレンジの場もない。
さらに売れていないだけで本当は実力がある芸人が多い。
けど、反対に売れてないことを言い訳に実力が無くてもダラダラ続けている芸人も多い。

「10年もやってM-1決勝にすらに残れない芸人は辞めた方がいい。」
「そんな奴らが辞めるキッカケにしたい」

と言っていた。

同じことは別の世界にも言えると思う。
たとえばスポーツの世界でも悲しいかな、最後は才能がモノを言う。
人はそれを「才能」とか「天性」とか「運」とか言うけど、基本的には同じ。

自分の話になっちゃうけど、競技を引退した理由はここにあった。
競技を10年もやってきて世界との差が一向に縮まらない。
アジアまでは才能があったかもしれないけど、おそらく世界までの才能は無いんじゃないかって。
寂しい思いもあったけど、こう考えられたからこそ今のステージに立っている。

競技でトップに登り詰められる人は限られている。
でも競技でトップを目指すだけが、安西先生の言う「試合」じゃない。

今回のシルクドソレイユの日本公演で主役を務める「谷口君」。
同じ歳で目指していたのも「キャラクター」で同じ。
彼はインタビュー記事でこんなことを語っている。

大学時代に体操選手を目指しましたが、
4年生の時に内村航平選手が入学してきて、
体操選手としての夢は諦めました

(※)出典:全文表示 | 「シルク・ドゥ・ソレイユ」日本人初の主役!空中アクロバットのコオロギ役 : J-CASTテレビウォッチ

彼も一度は体操選手としての夢をあきらめている。
もしかすると彼があきらめずに体操を続けていれば、オリンピックの代表になったかもしれない。
でも内村選手と張り合えるかどうかは…と、本人が感じたはずだ。

しかし、
彼はこの決断のおかげで、シルクドソレイユという「別の試合」に臨むことができた。
そして今や日本人初の「主役」というスターにまで登り詰めた。

目指す夢をあきらめるのは悲しく、後ろ髪を引かれる。
もうちょっとだけ頑張ればという思いも出る。
加えて猫も杓子も「夢をあきらめるな!」って叫んでるから困ったもの。

だが、
決断するときはスッパリとあきらめて、
次の「試合」を目指して歩き出す勇気が必要だ。

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この記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。