会社としてのシルクドソレイユ

カジノが日本で解禁されたら、シルクドソレイユ常設ショーはできるか?

面白そうなニュースが飛び込んできた。

三井不動産・フジテレビ・鹿島、台場でカジノ建設提案 | ロイター
[東京 8日 ロイター] - カジノ解禁の基本法案が臨時国会で可決される方向になっている中で、三井不動産(8801.T: 株価, ニュース, レポート)、フジ・メディア・ホールディングス(4676.T: 株価, ニュース, レポート)、鹿島(1812.T: 株価, ニュース, レポート)の3社がカジノやホテルを含む総合型観光リゾート(IR)の建設を東京都の台場エリアで提案していることがわかった。

日本にもカジノが出来るかも?って話の延長で、
お台場に日本初のカジノができる可能性が高くなったみたい。

MGM Grand Las Vegas - Home of Crazy Monkey ;-)

カジノと言えばラスベガス。
そしてラスベガスと聞いて真っ先に思い浮かぶもの、そう、
「シルクドソレイユ」の常設ショーだ。

もしお台場にカジノが出来たら、
ラスベガスのようなシルクドソレイユの常設ショーが出来るのだろうか?
こんなことを個人的な見解を元に考察をしてみた。
(※)内部情報とか何にも知らないので、単なる一個人の意見としてね。

現在も公演を行っている常設ショー

現在、常設でショーを行っているのは以下の通り。

★★ラスベガス★★
O
KA
Zumanity
Believe
Mystere
Love
One
Zarkana

★★オーランド★★
La Nouba

これらの常設ショーは長いモノで15年以上ものロングランを達成している。
なぜ同じショーが同じ場所で15年もの長い歳月で受け入れられているのか。
もちろんショーのクオリティや日々の進化はあるだろう。

だが自分はあえて別の要因を提示したい。
それは「ショーと客の反転現象」だ。

ショーが動くか、客が動くか

これまでのサーカスは、ショーを移動させながら各地で転々と興行してきた。
なぜなら同じ場所に留まってしまえば客が入らなくなってしまうから。
一部のコアなファンは別にして、悲しいかな、何回もショーを見に行こうという客は少ない。
ほとんどの場合、ショーを見るのは1回だ。

でもシルクドソレイユが考えた常設ショーは、
見事にこの関係性が逆転してる。

今までは「ショー」の方が移動して客のいる場所に出向いていたのが、
反対に客の方がどんどんショーのある場所に出向いてくる。
そのために長期滞在向きの観光地の特性を上手く利用している。

ラスベガスはまさに典型で、平均滞在日数は3.6日だという。
http://www.internationalhomeusa.com/#!about-lasvegas/c1pna

長期滞在ゆえ生まれる「暇な時間」。

ただホテルの部屋に帰るのもつまらないし、
ディナーでも行こうか、
面白そうなショーでも見に行こうか、
っていう流れ。

この「暇になる時間」こそが、常設ショーをやる上で大切な役割をしているのだ。

短期滞在の場には向かない常設ショー

この推論を、残念ながら閉演してしまったショーに当てはめて考えてみよう。
日本の人に最もなじみのある常設ショーと言えば「ZED」だと思う。

惜しまれながらも閉演を迎えざるを得なかった理由、
震災を含め様々なことが言われているが、

「舞浜が長期滞在者向けの観光地じゃなかったこと」

も一つの要因ではないだろうか。

日本国内だけでなくシルクドソレイユ内部にも多くのファンを持つ「ZED」。
素晴らしいショーだったと思う。

美しい舞台装置と演出効果、
オープニングの白い幕が吸い込まれるシーンは思い出すだけでも鳥肌が立つ。

しかし考えてみると、
舞浜にくる観光客のほとんどは、ランドとシーに行くだけ、ではないだろうか。
なぜなら日本人は欧米に比べて長期休暇が取りにくいからだ。

週末二日の強行で東京ディズニーランドへ、
せっかく遠出をするのだから一日はランド、もう一日はシーを満喫したい!

こう考える人が大多数だと思う。

なけなしの連休で遊びに来る人々、
彼らに常設ショーを見に行く「暇な時間」など無いのだ。

ではお台場カジノはどうか?

これまでの流れをまとめると、
「長期滞在者が多い観光地には常設ショーが向いている」ということになる。
では新たにお台場にできるカジノはどうなるであろうか。

これはあくまで個人の推測だが、
常設ショーを作るのは難しいと思う。

主な理由は、

1.長期滞在者向けの場所ではないこと
2.観光客の多くが国内および、アジア諸国になること
3.投資金が回収できる可能性

の3つだ。

まず1つ目の「長期滞在者向けの場所ではない」について。
これは上記に挙げた舞浜と同じ理屈だ。
日本人は休みが取れない。

連休の強行軍で、といえばディズニーの二の舞になるのは目に見えている。

では海外の観光客を呼び寄せればいいじゃないか、と。
しかしこれには別の問題が背後にある。
それはマカオで興行をしていた「ZAIA」というショーを見るとわかる。

詳しいZAIAの内情は分からないが、最終的に客がほとんど入らなくなってしまったらしい。
観客の大部分はアジア圏のお金持ち。
あくまで推測であるが、
おそらく、アジアの金持ちはどれだけの時間であってもカジノで時間を潰せてしまうのだ。

この点は先に挙げた「暇な時間」の理屈とは矛盾するが、
アジア圏にいるお金持ちの特徴なのかもしれない。

お台場に来やすい海外と言えば「中国」「韓国」をはじめとしたアジア圏。
どれだけこれらの観光客が居たとしても、ZAIAの教訓を思い出さずにはいられない。

最後に投資金の回収について。
シルクドソレイユはこれまで「建物・シアター」をスポンサー側、
ショーの内容は自分たちが請け負う、
という形式でショーを創作してきた。

ラスベガスにあるシアターもホテル側が出資している。

では同じ条件で「フジ・メディア・ホールディングス」が出資をするだろうか。
出資をした分の回収に、どれだけの年月がかかるだろう?
そして本当に出資金は回収できるのだろうか?

残念ながらその可能性は低いと思う。

日本に常設ショーを呼ぶのに必要なのは?

ここまで見てきた通り、
お台場カジノがシルクドソレイユの常設ショーを誘致する可能性は低いと思う。

加えて2014年に上陸する「オーヴォ」の東京公演が、お台場になっていることにも注目だ。
http://www.fujitv.co.jp/events/ovo/event_tokyo.html

ひょっとして「フジ・メディア・ホールディングス」は、
カジノ近くにシルクドソレイユのツアーショーを断続的に誘致し、
目玉のエンターテイメントとするのかもしれない。

では最後に、
日本に常設ショーを誘致するにはどうしたらいいかを考察してみる。

温泉地に常設ショーを作ってはどうだろうか?

もちろん冗談ではなく大真面目に。

なぜなら、超高齢化社会に向かう日本で、
時間とお金を持て余しているのは「リタイヤ組」だ。

彼らには限られた休日などという縛りがない。
3日以上、中には1週間以上の期間で、
存分に旅行を楽しむ人が多いはずだ。

このような余裕のあるリタイヤ組が集まる場所に常設ショーを作る。
長期滞在、暇な時間、温泉地は今回の理屈にもぴったりだ。

箱根とか由布院に、シルクドソレイユの常設ショー。

ミスマッチかもしれないが、
面白い化学反応を起こしそうな予感がする。

関係者の皆様、いかがですか?