あやとびは交差とびから練習しよう!!つまずきポイントと練習方法のコツを紹介

あやとびは、小学校低学年で習う最初の難関だ。

あやとびで難しいのは言うまでも無く交差するところ。上手に交差をしないとすぐに引っかかる。ここで、あまりに誤解が世に広まっているので、断言したい。「あやとび」のほうが「交差とび」より格段に難しい。まず「交差とび」を、次に「あやとび」の順番が正しい。

今回は世に広まった誤解を解くと同時に、より効果的な「交差とび」と「あやとび」の練習方法を紹介しようと思う。

あやとびが上手に跳べなければ「はやぶさ」はできない。
交差とびが上手に飛べなければ「交差2重とび」はできない。

今回の記事は「段階的練習方法」と「処方的練習方法」の2つに分類をした。

理論的に練習の流れを知りたい方は最初から読み進めていただきたい。子どもを目の前に、何とか成功の手助けをしたい方は「3.つまずきポイント」の中から、該当する箇所をつまみ読みしていただきたい。

また今回の記事も前掲の、「二重跳びのコツ決定版!小学生10万人への指導で蓄積した練習法を公開」と同じく、記事の最後に多くの先生方の先行研究や知識を紹介した。

== 目次 ==

縄跳びの選び方

交差とび、あやとびで使う縄跳びは「2重とび」のこれと少し違う。
上達を早めるためには、縄跳びにちょっとだけ工夫をしてから練習に取り組もう。

少し長いグリップ使う

腕を交差した姿勢は回すのが苦しい。そんな苦しさを軽減してくれるのが「長い柄の縄跳び」だ。柄のことをグリップとも呼ぶ。
交差をした時、多少腕の位置が悪くても、グリップの長さ分だけ交差を補助してくれる。もちろん市販されている以下のような縄跳びも良いが、既に持っている縄跳びにトイレットペーパーやラップの芯を装着するだけでも効果がある。

◆トビナワの例


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縄跳びは長めにする

初心者は「交差をする腕の位置」が高くなりがち。そこで「縄跳びを少しだけ長め」設定しよう。すると通過を助けてくれる。上達すれば短くてもできるようになるが、まずは通過させる感覚を身に付けるのが優先だ。

「よじれ」「癖」に注意

失敗の原因でダントツに多いのが「縄跳びの状態」によるものだ。
あなたは、グリップの中に余分の縄をを押し込んで長さを調節してはいないだろうか?もし思い当たるのであれば、今すぐに止めてほしい。

グリップの中には回転子と呼ばれる「縄跳びの回転を助けるパーツ」が入っている。ところがグリップに縄を押し込むことで、せっかくの回転子が機能しなくなる。そればかりか、回転子が機能しないと「縄のよじれ」の原因になり、腕を交差をした時に跳びにくくなってしまう

あまった縄は、はさみで切ってしまおう。もったいないことは無い。2重とびの記事でも書いたが、永久に縄の長さを延ばす日は来ないのだから。

また結んだ状態で保存するのも止めよう。縄跳びに良くない「癖」を付けてしまうからだ。
縄跳びはきれいな半円を描くのが理想。あなたの縄はクネクネと波打ってないだろうか?
もし癖が付いてしまっていたら、「熱湯茹」をオススメする。縄を沸騰させたお湯につけて、数分煮ることで癖が取れる。

縄の保存は「まっすぐ吊るした状態」が基本だ。

練習方法

腕の形とグリップの握り方を覚える

交差とびで最も大切なのは「腕の形」だ。上手に交差が出来なければ縄跳びは通過してくれない。そこで最初は縄跳びを止めて、腕の位置を確認してみる。
交差をする位置は「へその前で思い切り交差」。だが交差だけなら比較的殆どの子どもがスグに理解する。

重点的に教えるべきは「縄跳びの先を外側に向ける」こと。初めての子どもが交差をすると殆どの場合「腕を巻きつける動作」になってしまう。すると縄跳びの先が後ろ、ないしは上を向いてしまい、上手に縄跳びを回旋させることができない。

そこで縄のまっちゃんが推奨するのが「マウス持ち」という握り方だ。


マウス持ちの例

マウス持ちは人差し指と親指を伸ばしてグリップを握る。この握り方をすると先端がどこに向いているかを意識しやすく、また後に難易度の高い技をするときにも役立つ。

ちなみに写真のようなグー持ちは最悪。今すぐに持ち方を変えさせよう。


グー持ちの例

縄止めで動きながら交差を覚える

腕の形とマウス持ちが理解できたら、次は縄止め(縄ストップとも言う)を練習しよう。
はじめに前とびの姿勢に構え、縄跳びを身体の前で止める技だ。この時、縄跳びは跳ばない。縄跳びを後ろから正面に回すだけ、というのがポイントだ。

ジャンプをすると縄跳びが疎かになる。すると交差をしたときにもスグに失敗することになる。

何度か前とびで縄止めを練習したら、次に交差で止める練習をする。上手に交差をできていれば、きれいに足の下に縄がひっかかる。もし足の下に縄が入らなければ「交差の位置は正しいか」「縄跳びの先端は外側を向いているか」を繰り返し確認しよう。

まずは交差とびを練習する

腕の形とグリップの握り方が出来たら、いよいよ縄跳びを跳んでみよう。とは言っても、既に前項の練習でほぼ、交差とび1回は完成している。縄止めの瞬間に軽くジャンプをすれば、自然と縄跳びは足の下を通過して回旋していくことだろう。

交差とび1回が跳べたら、今度は腕の形を崩さずに連続回しに挑戦してみる。1回だけ跳んだらすかさず2回目、3回目にチャレンジするのだ。経験上、およそ半数の子どもがこの段階で「3-5回」の連続交差とびが出来る。

もし交差とび1回を跳んで次の縄跳びが回ってこない場合は、後述する「交差とびの構え」から回す練習をしてみよう。
少々難しい練習だが「縄跳びの先端を上手に使うこと」を習得するのにピッタリだ。

前とび→交差とび

次はあやとびの最初の課題、交差を入れる練習をする。なお、次項の「交差とび→前とび」とどちらを先にやっても良い。縄のまっちゃん的には、こちらの練習を先に行うことをオススメする。

前項の「まずは交差とびを練習する」で、前とびの姿勢から交差とびをする練習をした。実はこの流れがスムーズに出来れば、既に80%は完成である。あとは前とびを数回跳んでから交差とびに入るだけである。

だがこの「前とび数回」がポイントだ。子どもは前とびを跳び始めた途端、いつ交差とびに入っていいかを見失う。そこで「前とび3回」に回数を決めよう。3回の理由は「2重とび」の記事でも書いたが、不思議と人のリズムが3回が心地よいためだ。

前とびから交差とびに入れて、そのまま交差とびが跳べれば100点満点!!

交差とび→前とび

前項と同じく「あやとび」の課題、交差とびから前とびへ戻る練習をする。なお、前項の「前とび→交差とび」とどちらを先にやっても良い。

まず交差とびが問題なく跳べている場合なら、すぐに前とびに戻ることが出来る。一言「前とびに戻ってごらん」というだけだ。

交差とびに問題がある場合、最初に交差とびを練習するのも手だが「交差とびの姿勢」から縄跳びを回し、腕を開いて縄止め、という流れの練習をしよう。

「交差とび」→「前とび」でつまづく子どもは多くの場合、腕を開くタイミングが早すぎる。縄跳びが頭上を通過する前に開いてしまう、もしくはテキトーに勢いで開いてしまう、という子どもが実に多い。このようなケースでは「いつ交差とびの腕を戻せばいいか」を理解させるのが重要だ。

「交差とび」の姿勢から「前とびで縄止め」は一度もジャンプをしないので、腕の動きに集中できる。繰り返し練習をしてタイミングを掴ませよう。

太田式スモールステップ方式(改)

2重とびの記事でも登場した「太田式スモールステップ方式」は、あやとびの練習でも効果がある。基本的なやり方は同じだが、2重とびの時と若干違いがある。以下、練習の流れを参考にしてもらいたい。

ステップ1 1-1-1-②
ステップ2 1-1-1-②-1-1-1-②
ステップ3 1-1-1-②1-1-1-②-1-1-1-②
ステップ4 1-1-1-②-1-1-②
ステップ5 1-1-1-②1-1-②-1-1-②
ステップ6 1-1-1-②-1-1-②-1-1-②-1-1-②
ステップ7 1-1-1-②-1-②
ステップ8 1-1-1-②-1-②-1-②
ステップ9 1-1-1-②-1-②-1-②-1-②

(★)1=前とび、○=交差とび

ポイントは「徐々に前とびの回数を減らしていく」ことだ。
なお、最初の3回はリズムを掴むのに重要なため、ここだけは変えない。

「つまずき」ポイント

前項まででは段階的な練習方法を追ってきたが、ここではしばしばに見られる「つまずき」に対応した練習方法、対処法を紹介したいと思う。
既に練習を開始しており、以下にあげる症状で子どもがつまずいている場合、すぐにこれらの練習方法を取り入れてほしい。

回数が続かない

あやとびの回数が続かない原因は大きく3つある。

1. 交差とびの腕が正しく出来ていない

交差とびに入る瞬間、縄跳びの先端が地面に着いているかをチェック。正しく腕が出来ていないと、地面に着かずに浮かんでしまう。

 

2. 縄跳びがよじれている、もしくは癖が付いている

縄跳びを止めて眺めてみる。何もしないのに「よじれ」や「うねり」があれば、適切に縄跳びを伸ばす(→「よじれ」「癖」に注意を参照)

3. 焦りで交差とびと前とびのリズムがずれている

ジャンプが早くなったり、縄跳びで空気を切る音が聞こえるかをチェック。上手な人がよほどスピードを出して回さない限り空気を切る音は聞こえない。この症状の場合は「前とび3回から交差とびに入る」をやり直そう。勢いで跳ぶのではなくて、意識的に縄跳びをコントロールしながら跳ぶこと。

交差とびが上手にできない

交差とびで失敗する原因は、
1.腕の形が良くない
2.縄跳びがよじれている・癖がついている
3.ジャンプのタイミングが良くない

のいずれかだ。

1に関しては前述の「縄止めで動きながら交差を覚える」、そして「まずは交差とびを練習する」を参照していただきたい。

2に関しても前述の「よじれ・癖に注意」を参照していただきたい。

3のジャンプのタイミングが良くないは、縄跳びが足の下に来る前にジャンプしてしまう、もしくは足の下来てから跳ぶことで起こる。この場合は「前とびの姿勢から交差で縄止め」を練習しよう。足の下に縄跳びを掛けることで、いつジャンプをすればいいかが理解できる。またジャンプをしやすいように縄跳びをコントロールする練習にもなる。

最初の1回で引っかかる

交差とびに入る1回目で失敗する原因は「焦って交差をしている」「腕の形が良くない」のいずれかだ。

前述の「前とび3回から交差とび」をやってみて、それでも引っかかるようであれば「交差の腕の形」を再確認しよう。子どもが慣れないうちは、すぐに交差の形が崩れてしまうため、繰り返し確認が必要になる。

環境が許し、鏡の前で練習をすれば子ども自身で交差とびの腕を確認しながら練習が出来て上達が早い。また2人1組で互いの腕の形を指摘しあうのも良いだろう。

後ろあやができない

残念ながら「前あやとび」が出来れば「後ろあやとび」ができる、というわけではない。後ろあやとびの練習は簡易的であるが次のような流れで行う。

1.交差とびの姿勢で、縄跳びを足の前に持ってくる

2.腕を交差したまま後ろに縄跳びを回し、後ろ交差とびの感覚を身に付ける。腕が目線より上に上がらないよう、縄跳びの先端で回すように。

3.後ろ交差とびが数回跳べるようになったら「後ろとび」から「後ろ交差とび」に入る練習をする。この時「後ろとびの縄を跳んでから腕を交差する」タイミングが最大の課題。
後ろとびを1回跳んでから腕を交差して縄止め、という練習が効果的なので是非試してもらいたい。

ちなみに前あやとびが跳べる、跳べないは全く関係ない。
前後のあやとびは、ぞれぞれ全くの別物なのだ。

まとめ

以前掲載した記事、
「二重跳びのコツ決定版!小学生10万人への指導で蓄積した練習法を公開」

で予想以上の反響を頂いた。
嬉しさと同時に、なわとびの学習指導で悩んでいる方が実に多いことにも気付いた。主な原因の一つに「正しい学習の手順」が世に広められていないことにあるだろう。

前掲の記事で頂いた反響を通じ、
「なわとび嫌いの子どもを一人でも助けたい」
という思いが一層強くなった。

今後2重とびに限らず、10年間で培った知識をもっと世に広めて行こうと思う。

体育の授業で必死に学習指導をされている先生方、
小学生のお子さんをお持ちの親御さん、
何より必死に練習をしている「なわとびが苦手」な子ども達へ、

1人でも多くの元へ届けたい。

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この記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。

7 件のコメント

  • とても参考になりました。「子どものころいつしか身につけた技」は説明が難しいですね。難易度の高い技のほうが、意識して身につけた分、自分の苦労を説明に入れられて楽なのかもしれません。そういう意味でもうれしい内容でした。
    個人的には、「縄跳びの先を外側に向ける」に目が覚めました。実は、前はやぶさでやたらと縄がからまるようになってしまって、悩んでいたところだったんです。いろんな技を覚えた慢心からか、すこしでも素早くC→Oの動きをとろうとして、対応できないコンパクトさになって勢いを殺していたことに気づきました。ちゃんと、自分の腕前に合った縄の運びをしないとだめですね……。

  • 長くなってすみません。よろしければ教えてください。
    以前はあまりこういうこと(C→Oのときに縄のクロス部分が接触してそのままねじれにつながる)はありませんでした。C→Oの入る技をされるとき、クロス部分の接触はどんな感じですか?

  • とびまるさん
    いつもコメントありがとうございます。
    O→Cの時は縄のねじれはありませんか?
    考えられる原因としては、
    「縄の回転子が上手く機能していないこと」
    「交差を開くときの両腕が近すぎる」
    「交差の回旋を最後までせずに強引に開いてしまっている」
    あたりです。
    1つ目は縄を浮かべて近づけただけでも捻れるのでスグに分かると思います。
    2つ目はちょっと細かいことなんですが、「交差を開く」ときは、ホンの僅かだけ交差の上に来る腕が先に開きます。「交差に入る」ときは反対に下の腕を先に交差し始めます。
    最後の3つ目は、映像などで見ると分かりにくいですが、交差の腕の開き方は「八の字」のイメージで、ちょっとだけ両腕を前に投げ出すように開くと良いです。横方向強く開こうとすると、捻れや縄同士の接触の原因になります。
    実際の映像があればより的確なアドバイスが出来ると思いますが、是非上記3つを確認してみてください。

  • ありがとうございました。
    意識しつつやってみたら、あっという間に勘が戻りました。あと、回転子が片方だけひっこみやすくなっているのにも気づきました。ときおりねじれは起こるので、そろそろ縄の交換時期かもしれません。粕尾さんの過去の記事にも交換は大切とあったので、新しくしてみます。
    でも、今のは愛着があって、切れても持ち続ける気がします。楽しい時間を知った最初の相棒みたいなものなので(笑)。

  • Twitterにあった練習法希望ですが、「かえし」なんてどうでしょうか。
    これまで(数年ですが)小学校で見てきた感じだと、これが壁になっているように見えます。交差、あや、二重、サイドスイングまでは、大げさに言えば腕をなんとか回せばできてしまいますが、かえしの手首のテクニックは、先生たちでも別物で、できない人もいます。九九みたいに必須に近いものではなく、上級編のような感じで紹介される技なので、たいてい「できなきゃできんでいい」でシーズンが終わる子が多いんですよね……。

  • とびまるさん
    縄への愛着、すごい分かります!自分もShowにデビューしてからの縄を全て保管してあって、何となく交換のときは寂しい思いになります。
    さて、さっそくの提案ありがとうございます。「かえしとび」ですね。確かに跳ばない技ゆえ、何となくで見過ごされがちな技の一つですよね。かえしとびに関する文献やら研究をもう一回ひっくり返してみたいと思います!

  • 遅れましたがありがとうございます。
    私もネットだけでも確認しながら見てみます。