パフォーマンスの哲学

パフォーミングアーツが「機械」で進化するメリットとデメリット

縄跳びは硬い床で・・・
そんなこと誰も言ってない。

つい先日、ラヌーバに面白い器具が届いた。
その名も「空気床」と呼ばれるタンブリング用のレーン。
タンブリングが出来るだけの長さのトラックが、なんと空気を送り込むだけで作れるのだ。
しかも空気を抜いてたためば持ち運びもできる。

ちなみにラヌーバにあるのはこれ。9mね。
Air Floor PRO – tumbling bars training portable velcro – Tumbl Trak – Gymnastics, Cheerleading and Dance Equipment

実はこの「空気床」は、既にシルクドソレイユのショーで使われている。
そう、あのマイケル・ジャクソンイモータルで男子新体操の人々が使っていたやつだ。

この映像はEllenという番組にマイケル・ジャクソンONEのアーティストが出演したもので、
タンブリングをする床の部分に引いてあるのが「空気床」だ。

これ、縄跳びの演技に使ったらスゴイ面白いと思うんだよね。

跳ねる、跳ねる

新体操の人々がバシバシ宙返りをしている空気床。
程度の違いこそあれ、けっこうジャンプできる代物だ。

自分も実際に上に乗って跳んでみたけど、4重とびぐらいは楽々出来る。
その気になって練習すれば5重とびとかも連続で出来るんじゃないかな。
MORIZOなら7重とびとか余裕でできる感じ。

でも跳ねるからといって、ちゃんと普通の動きもできる。
跳ねる代名詞のトランポリンだと、跳ねはするけどベットが柔らかすぎる。
しかも本末転倒だけど、跳ねすぎる。
ほどよい跳ねじゃないと空中でバランスを崩してい演技どころじゃない。

跳ね返りがある分、かけあしとびとか変な感覚。
でもちゃんと制御できれば普通の前とびも跳べて、2重とびも問題なし。
気合いを入れれば3重、4重は楽々。

なにより、空気床はタンブリング用の器具。
そうアクロバットが非常に安全でやりやすい!!!

宙返りが安全にイケる

こんな表現すると誤解を招くかもだけど、宙返りはちょっと練習すればスグに回れる。
もちろんちゃんと練習すればね。
ロンダートからの宙返りとか、本当に楽々出来るのが面白い。
他の前方宙返りやらバク転もやりやすいし、なにより床が断然柔らかいので安心感が違う。

この床は元々体操競技とかチアリーディングのために開発されたようで、
普段から練習場で体操のパネルが使えない人が怪我をしないように使うらしい。
いくらマットが引いてあっても、ただの白マットだと限界があるからね。
しかも跳ねないから上のレベルの技へなかなか練習を進められないし、
通常の床以上に怪我に気をつける必要もある。

縄跳びに関しては基本が体育館の床だけど、近頃の演技はアクロバットが満載。
バク転や宙返りは当たり前で、トップ選手は捻ったり宙返り中に縄を操作したり。

ここだったら、アクロバット技の怪我が随分と防げると思う。

なわとびで広がる可能性

こっからは個人的な妄想の話。
空気床を縄跳びのアクトに取り入れたらどんなことが起こるかなぁって。

①アクロバットをもっと取り入れられる

当然だけど、できるアクロバットのレベルは飛躍的に上がる。
宙返りもガンガン入れられる。身体への負担が通常の床よりも断然少ない。

縄跳び選手もだけど、他のアーティストのアクロバットを拝借することも可能だ。
世界トップレベルの体操選手、空気床を使えば2回宙返りぐらいその場で出来る。
しかし世界レベルの体操選手とはいえ硬い床じゃ厳しい、すぐに怪我をしていまう。

この点、空気床を取り入れれば彼らの美しいアクロバットを存分に取り入れられる。

②技の制限が殆どゼロになる

シルクドソレイユのショーに限って言えば、公演回数が多いから技が制御される。
硬い床で宙返りをするのはもはや禁止事項に近い。
縄跳びの技でもモノによっては週10回に耐え切れないという理由で変更になる。
先に上げた項目でも上げたけど、アクロバット専門の人ですら週10回は過酷なのだ。

そこで空気床を使えば、縄跳び技の制限は皆無になる。
むしろ普通の床じゃ出来ないようなコンビネーションが繰り出せる。
高いジャンプを理由した組技、なんての発想が湧きそうだね。

③着地が自由になる

美しい男子新体操の演技。
中でも一番シルクドソレイユの人間を驚かせたのは「伏臥着地」だった。
ラヌーバがマイケル・ジャクソンを鑑賞に行った時も、悲鳴に近い歓声がアーティストから上がった。

(※)伏臥着地:宙返りから直接うつ伏せで着地すること

いきなり伏臥着地は出来ないと思うけど、可能性は広がる。
足じゃない場所での着地、例えばお尻とか背中とか。
トランポリンで言う「背打ち」での着地なんてのも可能になる。

自由自在に跳ねまわる、しかも色んな姿勢で着地する人間を縄跳びが縦横無尽に通過する。
考えただけでも楽しい!!

まとめ

縄跳び演技の演出として跳ねる床を使うのは面白いと思う。
演技の範囲も広がるし、新しい発想も生まれそうな予感が満載。

ただ最後に付け加えると、縄跳びがアクロバット祭りになる危険性はある。
この演技に縄跳びいらなくね??と思われたらヤバイ。
別に縄跳びを回してなくてもアクロバットだけやってればスゴイじゃん、って。

身体と縄跳びとの関係性。
この焦点を忘れずに新しい演技を模索したら、
きっと面白いモノが生まれる。