競技スポーツは「チケットを買って観る人」がいないと発展できない。

なわとび競技の世界大会が今年もフロリダで開催された。
去年と同じく自宅から30分の大学。

World Jump Rope

なんと、アメリカに引っ越してきてから自宅近くでなわとびの世界大会が開催されるのはこれで3回目!!
引き寄せてるのか?(笑)

 

日本選手の活躍を間近で観戦できるのは地元民の特権だ。

 

正式名称World Jump Ropeという今回の世界大会は大きく分けて個人戦と団体戦、そしてダブルダッチコンテストの3つがある。

 

去年の大会は日本から個人戦に1名しか出場選手がいなかったけど、今年は何と一挙30名近くの日本選手団が出場。中には師匠のSADAさんや生山ヒジキ、そして初のダブルダッチチームも出場していた。

 

去年唯一日本から出場した後輩の黒野も居て、それはそれは楽しい大会だった。

 

- 日本人大活躍

日本は海外から見てもレベルが高い。これだけ小学校から縄跳びに慣れ親しんでいる背景もあり、世界に稀に見る縄跳び大国の1つだ。

 

世界が日本で特に注目するのがフリースタイルという自由演技。日本の演技は通称Japanese Styleと呼ばれ、パフォーマンス性や観客を意識し楽しませる演技として非常に評価が高い。今回の大会もずば抜けたパフォーマンス性は顕在。

 

日本人チームが演技をするとなると、外販売をしている縄跳びに関係のない店員すら手を止めてアリーナに入ってくる。会場スタッフに話を聞いても、こんな現象は過去初めてだという。

 

これは、縄跳びを知らない一般の観客にも世界基準で高い評価を得ている証拠であろう。

 

以下は日本ダブルダッチ協会が速報で出した大会結果。
ご覧のとおり優勝のオンパレード。高いパフォーマンス性に加えて圧倒的な競技力、店員さん達が手を止めてまで演技を見に行く気持ちを十分理解できる。

- ダブルダッチだけじゃない日本を世界に知らしめた男

日本は世界で高い評価をされている。しかしそれはダブルダッチに限るという話だった。日本といえばダブルダッチ、もはや代名詞として世界に知れ渡っている。その一方で個人戦であるシングルロープ(普通の縄跳び)は振るわない。

 

過去の世界選手権の成績を見ても種目別で表彰台に立った選手はわずかで、個人総合では誰一人としてメダルに届いていない。かくいう自分も最高成績は種目別で5位、個人総合6位に終わっている。

 

ダブルダッチは世界を牽引する絶対的リーダーだが、ことシングルロープに関しては世界との壁を感じずにはいられない。

 

だが今回の大会で1人の選手が日本のシングルロープの歴史を塗り替えた。去年の大会にも出場していた黒野選手(クロちゃん)だ。

 

彼は大学に入ってから縄跳びを始めもうじき5年目になる。過去の世界選手権にも出場してきたがこれまで表彰台には届かなかった。しかし今回の世界選手権はひと味違った。予選突破すら難しいとされるシングルロープで、黒野選手は全4種目で種目別決勝への進出を果たし、しかも全年代合わせて男子個人戦総合優勝を果たした。全種目で種目別決勝へ駒を進めたのは、全ての競技者の中で彼一人である。さらに種目別決勝大会でも2つの銅メダルを獲得し、日本のシングルロープ界で前人未到の快挙を成し遂げた。

- もっと外の目を意識してほしい

Looking

ここからは個人的な意見。

 

これだけ近所で世界大会があるのはまたとないチャンス。縄跳びを知ってもらうのに機会だと思い、ラヌーバのアーティストにも声を掛けてみた。

 

するとアーティストの1名が家族で大会観戦に来てくれた。彼女は過去タンブリング世界レベルの実績を持つ。畑違いの元アスリートがこの大会を見てどのような感想を持つか興味があった。

 

I was disappointed. 「失望した」

 

これが大会を見た外部の人間の率直な感想である。

 

彼女は続けて「競技のポイントがわからない。ただ中途半端な倒立と宙返りをしているようにしか見えない。危険な場面もたくさんあった。これは本当に世界レベルなのか。」と厳しい意見をぶつけてきた。

 

体操経験者ならではの視点であると同時に、これが一般客から見た縄跳び競技の現実だ。1つフォローするなら、彼女はダブルダッチの演技を見ていない。仮に日本のダブルダッチを見ていたら、彼女の評価は変わっていたのかもしれない。

 

競技は時として玄人思考へ傾きすぎる。

 

例えばフィギュアスケートのジャンプ技のように、熟練の目がなければ何をしているかも分からない。しかし一方でフィギュアはあれだけの一般観客が歓声を上げ、縄跳び競技は関係者すら退屈そうな様子を見せる。この違いはなんだろうか。それは競技が観客を意識しているか?だと思う。

 

有名な話だと卓球のピンポン球は観客からもよく見えるよう、速度の出にくい38mmから40mmへと大きさを変化させた。またセット数も増えてテレビ越しでもワクワク感がある。

 

似たような話は他の種目・競技でもいくらでも探せば出てくる。いかにして一般観客にも楽しんでもらえるコンテンツにするかは、非常に重要な要素だ。

 

本音を言えば自分も競技中退屈だった。何より出場チームが多すぎて日本チーム以外は見る気すら起きない。しかしこれは選手の責任ではなく大会が求めている演技が退屈にさせたのだ。

 

★★

 

これから縄跳び競技が発展してくためには外部からどのように見られているかを意識する必要がある。それには入場料を払ってでも一般の人が見たいと思うような演技と、競技として価値のある演技の隔たりを少なくしていくことだ。

 

つまり見ていて楽しいと思う演技に対し高い点数をつけるようなルールにすればいい。宙返りや逆立ちも良いが、ここばかり求めるようでは増えるのは怪我人ばかりである。やってる本人達は楽しければ良いかもしれない。

 

しかし広く世間の人に観てもらう事ができなければ、競技として発展していくことは難しい。

 

この点で日本は世界のお手本になるだろう。

 

今回の大会でSADAさんとヒジキが披露してくれた演技は各国の注目の的だった。ダブルダッチは日本チームと聞くだけで販売の店員が客をそっちのけで観に行くほどの人気で、内部外部関係なしに演技の評価が高かった。それは日本のダブルダッチ大会を見ても理解できる。

 

あれほどに外部の人間がチケットと求めて殺到する縄跳びの大会は世界でも類を見ない。世界選手権と冠していても観客席はほとんどが選手、保護者、そしてコーチかジャッジである。

 

身内の大会という楽しさはあるだろう。だが、そろそろこのレベルから脱却する時期が来ていると思う。

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この記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。