ルーティンやゲン担ぎで見過ごされる「脆さ」の正体

誰しも一度はゲンを担いだ経験があると思う。
試合の前、試験の前、プレゼンテーションの前、、、意外と大切な場面って多い。

 

食べ鯛焼き

 

自分もゲンを担ぐタイプだ。
競技現役時代は必ず3ヶ月前から禁酒をして本番の大会に向けて気持ちを高めていった。陸上競技をしていた友人の話では、試合当日の動き方までも分単位で決めてる選手もいるんだとか。。。

 

ゲン担ぎは科学的にも効果が認められているらしい。


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イチローのようなビックネームを出されると、思わず真似したくなるよね。

 

事実、自分も仕事中のルーティンをかなり細かく決めている。
シアターに入るのがこの時間で、このタイミングでメイクをして、練習はこれをやって、次はこれで・・・挙げていけばきりがない。そして毎日同じ時間、同じタイミングでスタンバイしショーに向かっていく。

 

このやり方をかれこれ4年も続けてきた。
日々同じことを繰り返していく様は宗教的な匂いすらする。日々の積み重ねが信仰の儀式になるまでには時間はかからない。「これさえやっておけば怪我はしない。この流れでやれば失敗はしない。大丈夫だ。イケる!」のような図式を4年も続けて来た。

 

この方式は確かに効果があった。特に新人の頃はペースを掴みきれなず藁をもすがる思いだったので、それが何であっても信じたい。自分だけの儀式であってもすがりたいと思い必死でルーティンをこなしてショーに望んでいた。

 

しかしこのゲン担ぎやルーティン化には1つの落とし穴があることに気付いた。
突発的なアクシデントに弱いのだ。

 

★★

 

たとえば緊急のミーティングが入ったとしよう。そこで時間が30分持っていかれたら、自分の作っている1日のスケジュールは大きくずれこむ。何とか遅れを取り戻そうとして各ルーティン作業を手早くやっていくものの、なにか落ち着かない。それだけでなくルーティンを乱した外部要因に苛立ち、不要なイライラと焦りに追われることになる。

 

しかも実際のショーだって何があるかはわからない。

 

一応は振付もカウントも決まっている演技だけど、生身の人間が動く以上、不測の事態はいつだって起こりうる。ショー中に縄跳びが壊れてしまう、音楽が全て止まってしまうなどアクシデントも含め、日々細かいズレを調節しながらステージになっているのが現実だ。

 

全く同じショーなど2度とない。

 

でもルーティンばかりにこだわっていると、こうした些細なズレやアクシデントにまで苛立ってしまう。打ち合わせと違うじゃないか、練習と違うじゃないか、重箱の隅を楊枝でほじくるように不満が蓄積する。

 

- あえてルーティンを壊すリハビリ

こうした事態に気付くまで4年もの時間が必要だった。周囲の人々には本当に申し訳ない。

そこで自分なりにこのゲン担ぎ病・ルーティン病を克服する作戦を練った。それはあえてルーティンを破壊するリハビリである。積み上げてきたルーティンを、ある日唐突にスッポカスのである。予定は作らない。思い立った日、いきなり実行する。

思いつきでルーティンを崩すのは勇気がいる。これを崩したらショーで失敗するかも。。何か良からぬことが起こるかも。。。そんな不安と焦燥感との戦いが始まる。

 

実際に、準備運動の大改革を先日決行した。
これまでスタンバイの10分前に縄跳びをセットしてから一切触らずにステージに立つまで待っていた。縄跳びがあると無駄に跳んでしまったり、本番前に疲れが溜まってしまうかと不安だったからだ。だがそんな思いは全て吹き飛ばし、いきなりスタンバイ場所に縄跳びを持参し、直前まで跳ぶ練習をするようにした。

 

結果は成功。別に本番で疲れない。
むしろ直前まで触っていられるためか、感覚が過去最高に研ぎ澄まされた。

 

他にも17時に前日のショー映像を確認する、練習前にストレッチをする、本番30分前にトイレに入るなども、ある日突然辞めてしまったルーティン達である。

 

- 心に余裕が生まれる

ここではルーティンの内容そのものには大きな意味は無い。突然やーめた!という状態にあえて自らを追い込み不安や焦燥感に耐性を付けることが重要なのだ。それが「試合の日は右足から階段を登る」でも「勝負の時は赤のパンツ」でも意味は同じ。

 

そう、別の表現をすれば小学校の避難訓練みたいなもの。
実際に起こるかなんて誰にもわからないし、できれば起きて欲しくない。

だがステージはいつも本番一発勝負。常に何が起こるかわからない。いざって時、その場で立ち尽くして周囲を不安げに見回すだけのなるのか、それともとっさに別の動きを入れ込んで自信満々で演技をやりきるか。

 

心の余裕はいざって勝負時にこそ、大きな力を発揮する。

 

★★

 

余談だけどこのリハビリのおかげで暇な時間が増えた。
ルーティンのために割いていた時間が、そっくり空いてしまったのだ。なので空いた時間にはまた別の作業を決めて入れ込んでいる。そう、また別のルーティンへと様変わりさせるのである。

 

日が経てば再びこのルーティンも壊す日が来るだろう。
近頃は、あえて不安や焦燥感に追い込むことが快感にすらなっている。

 

ひょっとすると、
世間ではこれを「新鮮な気持ち」と呼ぶのかもしれない。

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この記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。