初心者に「長い」「重たい」ロープを使ってダブルダッチ教えてみた結果

ラ・ヌーバにダブルダッチが入ってから半年が経過した。
紆余曲折あったけど順調に?アクトに馴染んできた。

ラヌーバ「なわとびアクト変革計画」 最終章 ~ラヌーバにダブルダッチを迎える~ – なわとび1本で何でもできるのだ

ラ・ヌーバではダブルダッチの縄に普通のロープを使用している。本当は定番のアシックスのロープでも良かったのだけど、あえて普通の作業用ロープを一定の長さにカットして使うことにした。

その理由はこの記事を書いたことにある。

 

ダブルダッチを学校体育で広めるのに必要だと思うこと – なわとび1本で何でもできるのだ

 

学校体育にもっとダブルダッチを普及するためには先生たちが回せることが重要であり、そのために「長い」「重たい」ロープを使ってみてはどうか?という提案をした。
偶然にもとあるFaceBookページにもこの記事を取り上げてもらい、初心者にダブルダッチを教える時にはどんなロープが良いのか?と議論が巻き起こった。

 

しかしこの記事を書いた段階ではまだ確証が持てなかった。
確かに長い・重たいロープを使えば初心者にも回しやすいが、きちっと追跡調査をしたことがなかったからである。

 

最初は回しやすいのは知っている。ではその後上達するに従いどのように変化するのかにとても興味があった。

 

観客の居る本番ステージで週に10回のショーを行うラ・ヌーバ。
語弊があるかもしれないが、実験を行うにはピッタリの環境だった。

 

- 実験の経緯

今回の実験では3ヶ月(2014年1月〜3月)のトレーニングと6ヶ月(2014年3月〜9月)の実践ショーで構成されている。

最初の3ヶ月でステージで演技をするために最低限必要な基礎技術を叩き込み、同時に本番演技の構成と通し練習も行う。その後トレーニングが進捗し、ディレクターのOKが出たタイミングで本番デビューとなった。本当は細かい構成やどんな練習をしたかを公表したほうがより正確な情報になるのだけど、契約の関係であまり書けないためご容赦いただきたい。

 

次に使用したロープ。
今回は長さ約5m、太さがアシックスより一回り太いものを使用した。素材は綿と化学繊維(と思われる)で、回した感じはアシックスよりも重く感じる。また当然だけど縄の中心に芯も入っていないので、アシックスよりもフニャフニャっといた印象だ。

アシックスのダブルスロープとの比較
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では、順を追ってどのような経過を辿ったかを紹介する。

 

- 練習開始直後

練習開始直後は予想通りの結果だった。

トレーニングの1日目からロープを普通に回してくれた。はじめに肘を固定して回す、身体のセンターを越えないようにする等の基本を幾つか説明したものの、それらをあっという間に飲み込んでダブルダッチの縄が回り始めた。

その後10分足らずで中に入って跳ぶこともできた。もちろんまだまだロープはフニャフニャしたり、時にお互いに接触したりなど荒い感じは残っていたけど、いきなりここまでロープが回ってくるとは正直驚いた。

 

- フォームに起こった問題

最初のうちはいい感じだったのだけど、少しずつ問題が顔を見せてきた。

まず問題に上がったのは「フォーム」だ。日本のダブルダッチを周到して「肘を固定して回す」手法を取り入れたのだけど、あっという間にこのフォームが崩れ去っていく。気づく度に指摘を加えたものの、少し時間が経てばすぐに特定のフォームに戻っていく。

 

それは「肘を開きロープを力で持ち上げる」ようなフォームである。ロープを肘中心で回さずに胸から顔面の前あたりで回すような癖がつき始めたのだ。別の表現をすればロープを回す中心が必要以上に高い。

このフォームの崩れは6ヶ月を要しても未だに改善されていない。

理想的な腕の通過位置
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こちらが起きた現象。
上記よりも円が小さく矢印のように回転の中心が高くなる。

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- ロープへのパワーバランスの乱れ

フォーム以外にも見られたのが「ロープへの力の掛け方」のアンバランスだった。
言葉で説明しても非常に伝わりにくいが、片方が引っ張りぎてもう一方が回しているつもりになる現象とでも説明しよう。

 

引っ張る方は頑張る。もっと引っ張る。でももう一方は引っ張られていることにすら気付かない。そればかりかコントロールしようと試みた瞬間、縄を殺す。とくにスピードや2重ターニングの場面でこの現象は顕著に現れた。

 

考えられたのは「ロープの重さ」の弊害だ。
重たい分、ロープを力任せに回す癖がつく。たしかにある程度は力が必要だが、本当に必要なのは力ではなくコントロールする感覚である。このバランスの乱れはロープをコントロールする感覚、いわゆる「縄神経」を上達させず、無思慮にロープをぶん回し続けた結果だと推測した。

 

- まとめ

ラ・ヌーバでは今日もダブルダッチをショーでやっている。
上記のような問題が発生はしたが無事に演技ができるレベルに達していることは付け加えておきたい。

 

今回の実験を通じて「重たい」「長い」ロープの及ぼす弊害を再認識することができ、それは同時にアシックスのダブルダッチロープは初心者が扱うには難しいと思い込みだったのでは?という次の課題にもつながった。

 

短期的に見れば「重たい」「長い」ロープは有効だろう。とりわけ時間の少ない学校の先生には効果的な教具になると思う。だが中長期的な目で見るとある一定で上達がストップする。さらに良からぬ癖というおまけ付きで。

 

大会を目指すワケではないのだし、高い技術が必要ないと言われればそれまでだろう。
だが、一定以上の技術を持ってしてこそ味わえる楽しみがあるのも忘れてはいけない。

 

アシックス ダブルトップロープシングル GGT001

アシックス ダブルトップロープシングル GGT001

アシックス ダブルトップロープダブルス GGT002

アシックス ダブルトップロープダブルス GGT002

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この記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。