アスリートは『試合本番』でしか本当の意味で成長できない

2015年現在、縄跳び競技には殆ど大会がありません。

 

今あるのは「全日本」「アジア選手権」「世界選手権」の3つのみ。世界選手権は2つの違う協会が主催する別の大会がありますが、それでも他の競技に比べれば圧倒的に試合数が少ないのが現実です。

 

数こそ少ないですが、多くの選手は2年の一度の世界選手権を目指して日々練習を重ねます。

 

世界選手権が最も大きな規模の大会であることは間違いありません。では、トップ選手が世界選手権以外の大会に出場する意義とはなんでしょうか?

 

ハンマー投げオリンピック金メダリストの室伏浩二選手は、自伝『超える力

』の中で「温室育ちアスリート」の弱さについて触れています。ここには競技力向上だけでなく、人間としてのアスリートの成長の重要性が指摘されていました。

 

- アスリートは競技だけやっていればいいのか?

競技だけをやっていては、鳥かごの中の鳥と同じ。アスリートとしての成長は、何でもありの状況下で起きるハプニングや困難をどう切り抜けるかによって問われると私は考える。

 

出典:超える力

若いうちは多少コンディショニングがうまくいかなくても出る。それを繰り返すことで、試合勘が磨かれる。勝ったり、負けたりを経験する中で、海外での試合が特別なものではなくなり、遠征や会場の空気を楽しむことができるようになる。そうすることで、いかなる状況でも自分の力を発揮できる精神力が培われるのである。

 

出典:超える力

競技でトップに昇るにつれ、周囲の反応は変わっていきます。本人の意思に関係なく「スター」として扱われるようになります。すると中には「競技で好成績を残していればそれでいい」という勘違いをする選手が表れてくる。

 

国際大会に出場するのは素晴らしいことです。しかし、本当に自力だけで出場することの大変さを知っているでしょうか。想像できないハプニング、言葉の違いなど、乗り越えなければいけない壁は沢山あります。

 

競技だけに集中しているアスリートは、こうしたトラブルに対処する能力が育ちません。整った環境でしか力の発揮できないアスリートに、世界の頂点を極めることが出来るでしょうか?

 

- 試合の「カン」は試合でしか磨くことができない

縄跳び競技会場には、独特の緊迫した空気が流れています。ミスをしやすい競技にもかかわらず、一発勝負で勝敗が決まるプレッシャー。どの選手も口にこそしないけど、押し潰されそうな緊張を心に秘めて競技エリアに立っています。

 

この雰囲気は試合会場でしか味わうことができません。皆が真剣勝負に臨んでくる場にしか生まれないものなのだと思います。

私が大舞台でも平常心を保って大会に臨めるのも、若い頃に数多く海外を転戦してきたからなのだ。だからこそ今の若い日本人アスリートには武者修行しながら海外を転戦し、厳しい環境に身を置くことを勧めたい。厳しいアドバイスになるが、「温室育ち」のままでは、世界のトップアスリートと伍して戦うことは難しいだろう。

 

出典:超える力

大抵の選手は初出場だと空気に飲まれ、本来の力を発揮できずに終わります。

 

でも、これは仕方ない。

 

競技会場の独特の空気は経験しなければ分からない恐ろしさがあるのです。しかも一度経験したところで慣れるものでもない。経験を重ねていくうちに、ようやくその雰囲気に飲まれることなく本来の力を発揮できるようになるのです。

 

- まとめ

日本人選手は圧倒的に試合経験が少ない。他国のライバル達は試合本番という最高の練習機会を数多く積み、世界の頂点を狙ってきます。

 

どれだけ練習を繰り返しても、本番の練習は本番でしか出来ません。

 

現役選手には数少ないチャンスを無駄せず、積極的に試合経験を積んで欲しいと強く思います。

超える力

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この記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。