「三重跳び」をする小学3年生:子供のヤル気をマネジメントする「ジャンプ台」の戦略

う -縄と日-

あなたは「三重跳び」できますか?

 

過去に全国の小学校を訪問してきましたが、高学年であっても三重跳びを跳べる人は数えるほどでした。

 

先生を始め、大人ですら跳ぶのが難しい三重跳び。しかし都内某所に3年生の女の子が軽々と三重跳びを跳んでいる学校がありました。しかもその子が特別なわけではなく、クラスの半分ぐらいの子たちが三重跳びを習得している。この子は三重の中に交差を混ぜるのはどうすればいいのか?という、前代未聞のハイレベルな質問を投げてきました。

 

この小学校の取り組み方には、子供が自ら率先して上達していくシステムが垣間見えました。

 

- 二種類のカードを使用

初めにこの小学校でどのような取り組みをしていたかを紹介します。

 

まずは他の小学校でも広く取り入れられている「縄跳びカード」を使っていました。前とびから始まり、交差とびや二重跳びといった技が羅列されている、ごく有り触れたなわとびカードです。

 

ただこのカードは二種類あって、1つが「地面用」もう1つが「ジャンプ台用」と記されています。

 

記載されている技は「ジャンプ台用」の方が圧倒的にハイレベル。何しろ二重跳びが一番最初に来ているのです。イの一番で二重跳びが課題になっているなわとびカードは、この小学校以外で見たことがありません。

 

そして最高レベルにあるのは四重跳び。1回のジャンプで4回も縄を回す技です。こんなのできる小学生が居るの?と疑問でしたが、高学年になれば半分ぐらいの子が達成するようです。

 

- ジャンプ台とは何か?

ではジャンプ台とは一体なんなのでしょうか?ひとことで言えば跳ねる床です。べニア板の両端に枕木を添え、その中央でジャンプをすることで板の「しなり」を貰い通常より高いジャンプができます。

 

アシックスから公式ジャンプ台なるものが販売されてます。


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ただジャンプ台となると大きいモノなので、家庭でしたらミニトランポリンでも代用できます。


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- 3年生で三重跳びを跳ぶ、その異常なハイレベルさ

「地面用」のカードもハイレベル。最初こそ前とびから始まりますが、最後には三重跳びのハヤブサが登場します。小学生でここまでやらせる学校は見たことがありません。

 

国際大会レベルの選手でも三重跳びのハヤブサを流暢に出来る選手はごくわずか。日本の選手以外ではほとんど見かけません。世界的に見ても異常なまでハイレベルなんですよ。

 

それでも子供たちはあっという間に課題をクリアしていく。先ほど紹介したように3年生で三重跳びのハヤブサにチャレンジしてしまう子まで登場します。

 

繰り返しますが地面ですよ?ジャンプ台の上ではありません。

 

- ジャンプ台で出来れば、どこでも出来るようになる!

なぜここまでジャンプ台は縄跳びの上達に良いのでしょうか?それは縄跳びが感覚のスポーツだからです。世間では「どれだけ高く跳ぶか?」や「どれだけ早く回すか?」といった個別の技能に注目が集まりますが、実はどちらが出来ても縄跳びは上手になりません。

 

これ以外にもロープを的確に回す操作力、リズム感、ジャンプ時の姿勢維持のためのバランス力、足の前でロープを引っ掛けないための集中力・・・個別に列挙し始めたらこれだけの技能が必要になります。

 

大切なのはこれらバラバラの技能を1つに繋ぐ能力です。ジャンプ台はこれらの統合能力を高めるのに最も適した環境なのです。

 

1.ジャンプ力が擬似的に高まり、姿勢維持のためのバランス能力が向上する
2.滞空時間が飛躍的に伸びるためロープの速度が遅くても二重跳びができる
3.一旦できた技は反復が可能になり、ジャンプとロープ回転のリズム能力が向上する
4.ジャンプが低くなる地面でも二重跳びができるようになる

 

こうして、ジャンプ台で身につけた技は地面でも出来るようになります。

 

- ジャンプ台はモチベーション向上装置

子どもにとってジャンプ台が有意義な理由はもう1つあります。それは成功体験ができることです。

 

正攻法で行けば、二重跳びの習得には地道な練習が必要です。一方ジャンプ台を使うことで、擬似的ではありますが二重跳びが成功した!!という経験ができます。これは素晴らしいモチベーションなんです。

 

分かりやすく運動の楽しさを感じれるのが「成功体験」です。ジャンプ台のような補助を用いてでも、まずは成功体験をさせる。そこでモチベーションを高め、習熟度を高める練習へ移行させていく。反対に土台のモチベーションが低いと、習熟度を高める反復練習が十分に行えない可能性が高いです。

 

先の小学校では「地面用」と「ジャンプ台用」の2つのなわとびカードを作成していました。高難度の技はまずジャンプ台から練習し、次に地面での練習するようにと意図的に子供を誘導しています。

 

この小学校が成功した本質は、上手に子供のモチベーションをマネジメント出来たことだったと思います。

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この記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。