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採点競技は「同じ審判」が採点しなければ不公平か?

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こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

ちょうどいま、フランスのパリで縄跳び世界大会が開催されています。

World Jump Rope

この大会には日本からも多くの選手が出場しています。しかも今回はDouble Dutch Contest Worldが同時開催ということもあり、ダブルダッチ熱が過去最大になっていることでしょう。

本当は会場に行きたかったのですが、今回も仕事のためネットで観戦。またYoutubeやブログで選手の皆さんがどんな様子かを毎日楽しみに見させてもらっています。

そんな中、ダブルダッチ30歳以上部門で出場している「Yoshitakaさん」が、興味深い記事を書いていたので紹介します。

Yoshitakaさんの疑問点は?

■Yoshitakaさんのブログ記事
世界戦3日目 ここで疑問点|前進&Enjoy!!!!!

Yoshitakaさんは大会のフリースタイル*1と計測競技を見て、ふと疑問があったとおっしゃっています。

主な疑問点をまとめるとこの三点。

1.結果に不具合があると判断されればやり直しができる
2.同じジャッジがフリースタイルを採点していない
3.ジャッジの質が世界基準かが不明

これらは、実際に多くの国際大会を経験されたYoshitakaさんだからこその視点だと思います。では大会から少し離れた立場から見て、この問題はどうなのかを考えてみたいと思います。

競技やり直しは不公平か?

まずは競技のやり直しについて。縄跳び競技では「ロープの破損」や「やむを得ない理由」などで再競技が認められます。今回の世界選手権では、採点に不具合があったことがやり直しの理由になったようです。

ここでYoshitakaさんは「再競技もOKだが、途中過程の結果は伏せるべき」「記録の上下に関わらず、やり直しの記録を採用」とおっしゃっています。自分もこの意見には賛成です。

一点や一回で順位が入れ替わるのがスポーツの世界。たとえ不具合であっても二回目のチャンスが生まれるのは公平ではなくなります。ここに個人やチームの思惑が入ればさらに複雑に。

一回目の演技は失敗が多かったから、もう一度やりたい。こんな身勝手な言い分をぶつけてくる選手が出る恐れもあります。なので途中過程は結果は非公開、かつやり直しの記録のみを採用、といった配慮が必要だと思います。

同じジャッジが採点しないフリースタイルは不公平か?

次にフリースタイルの競技形式について。今回の世界選手権では四つのブースで予選を行い、上位選手が決勝へコマを進める方式でした。つまり同じ階級・カテゴリーであっても別のジャッジが採点をすることになるのです。

常に同じジャッジが採点を行えば、評価基準にブレは生まれにくい。同一人物ですからね。しかし違うジャッジだとどうでしょうか?ジャッジのAさんは8点、ジャッジのBさんは6点をつけるという状況が普通に発生します。

ゆえにYoshitakaさんは公平を期すために「同じ階級・カテゴリーでは同じジャッジが採点」が望ましいと仰っているのです。ただ自分は「競技人口の増加」と「予選」という視点で、仕方ないのでは?と考えます。

競技人口が増えれば地方予選、地区予選を行う必要が出てきます。このとき、すべての会場に同じジャッジを派遣するのは現実的ではありません。東西ぐらいならまだしも、都道府県予選ともなれば47箇所もあります。

競技規則やルールは、こうしたジャッジによる個人差を極力なくすためにあるのだと思うのです。ルールを十分に理解していれば、誰でも一定基準の評価を下すことがでいる。そのためルールです。なので競技の広がりを考えれば、違うジャッジに採点されても不公平とは言い切れないと思います。

ただ、この意見はジャッジの質と深く関係します。あまりに地方によってジャッジの質にバラつきが大きいと、この理屈は通りません。実際の点数に多少のズレが出るのは仕方ないでしょう。しかし、どのジャッジが判断しても順位に大きな変化がないようにする必要があります。

この意味でも、Yoshitakaさんが三個目におっしゃっている「ジャッジの質」は非常に重要な課題。競技選手と同じぐらい「競技が見れるジャッジ」の増加育成は大切なのです。

ジャッジ採点のまとめ

ヒトの判断に頼ることが多い採点競技。どの競技でも「いかにして公平性を保つか?」が命題として扱われています。場合によってはお金が動いたり、国同士の政治的なしがらみまで関わってくる複雑な問題です。

ですが一番大切なのは、フロアの上で選手がどれだけベストパフォーマンスを出せるかではないでしょうか。採点方法やジャッジの不信感で万全の演技ができなければ、本末転倒。彼らの情熱と素晴らしい演技がなければ、採点競技は成立しないのです。

完璧な公平は無理かもしれません。ただ、どうすれば皆が納得してベストを尽くせるかを考える努力を止めてはいけないとおもいます。

*1:75秒以内に音楽に合わせ、自由に技を組み合わせて演技を行い難易度や構成力、完成度を競う種目