縄跳び競技で次に来るのは後方系。人が「やりたがらない」に気付けるかが勝負。

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photo by Wiedmaier

こんにちは!
縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

縄跳び競技では、毎年夏場に国際大会が開催されます。ダブルダッチ界がWorld Jump Ropeに行っている間、マレーシアではFISACの「第8回アジアロープスキッピング選手権大会」が開催されていました。

にしても、なんでみんな暑い時期に縄跳び大会を集めるんだろうか…

さて、そのアジア大会男子15歳以上部門の演技をYoutubeで発見したので紹介します。

この演技はHong KongのCheung Pak Hung選手の演技。題名を見る限りこの部門で優勝したようです。果たして日本の単縄選手たちはこの演技をどのように見たでしょうか。

多回旋の圧倒的な安定感

まず特徴的だったのが全体を通じての多回旋の安定感。これだけ多回旋を連続で入れていて、強引にロープを引き抜く瞬間がほとんどありません。それだけ技が洗練され、効率的にロープを回しているのでしょう。

これ、日本人の得意分野なんですよね。小学校の縄跳びカードには多回旋が溢れていますし、ここから競技に進む選手が多いのも理由の一つです。三重跳びや四重跳び、今ではフリースタイルで五重跳びや六重跳びをやる選手まで現れています。

またINFスタイルでは後方系の四重跳びや五重跳びも頻繁に登場します。つまり多回旋をふんだんに入れ込む演技構成は、日本人選手のお家芸なんです。

後ろ系が圧倒的な上手さ

Cheung Pak Hung選手の演技の大きな特徴は「0’40」あたりの後方四重跳びの連続でしょう。いま世界でこれだけ後方四重跳びが上手にできる選手を知りません。

単縄の演技はほとんどの選手が前方系で攻めていきますよね。なぜなら殆どの選手は前方系をやり慣れているから。後方系は技の難易度もさることながら、ロープが顔面スレスレを通過する恐怖心との戦いでもある。ゆえに世界的に見ても後方系は敬遠されるんです。

すなわち、それだけライバルが少ない。

そもそも後方系の練習をする選手も少ないし、ここまで高いレベルで演技に入れられる選手はほぼ皆無。つまり後方系は「ブルーオーシャン*1」なんです。

人がやっていない、より「やりたくない」

かつてLuke Boon選手が一世を風布した時代、彼の得意技である「背面系」がブルーオーシャンでした。2006年の世界選手権で初優勝した当時、世界のほとんどの選手が背面系が苦手だったんです。

しかし時代が流れ、今では世界中の選手が背面系を習得。相対的に背面系というアドバンテージが少なくなりつつあります。同様のことがアメリカ選手に代表される「アクロバット系」にも言えるでしょう。

ブルーオーシャンはいずれ、世界に広がりレッドオーシャン*2になります。いま背面系とアクロバット系のフリースタイルは、まさにレッドオーシャンに突入しています。

Cheung Pak Hung選手のような後方系は、まだライバルの少なく先手必勝を狙うことができます。

★★

これら「背面系」「アクロバット」「後方系」で共通するのは、人がやっていないこと。ただしそれだけでなく「人がやりたがらないこと」なんです。

どの系統の技も、縄跳び競技を少しでもかじったことのある人なら絶対に知っています。それでも誰も手を付けなかった。なぜなら習得に時間がかかる、練習が危険、地味な練習が必須という「やりたがらない」という要素があったからです。

おわりに

まだ後方系に気付いている選手は少ないはず。ここを戦略的に狙えば、世界で上位に食い込むチャンスがあるかもしれません。ただしCheung Pak Hung選手が発見し、すでに相当なハイレベルに仕上がっています。後方系だけで彼を撃破するのは難しいでしょう。

ブルーオーシャンを見つけるのは簡単ではありません。しかし沢山の選手の映像を見ていると「なるほど!」というジャンルの発見をすることがあります。技術的な巧みさや難易度ばかりでなく、世界の流れを意識して少し違った目線で戦略的にフリースタイルを見てみましょう。

みんな上手です。上手なだけじゃ勝てません。そんな時は、どうやって勝つか?を分析する視点が大切だと思います。

*1:ライバルの少ない海を表す。ここを見つけると一人勝ちがしやすい

*2:ライバルの多い海で、血で血を洗う競争を強いられる。消耗戦になりやすい。

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