組体操を運動会から無くせないのは「ネタ不足」だから。

こんにちはー。
縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

 

運動会の組体操の危険性が話題になっていますね。

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そして9月27日に大阪府八尾市の中学校で行われた体育祭で、組み体操のピラミッドが崩れ、生徒6人が重軽傷を負う事故が起こってしまいました。生徒の一人は腕を骨折する重症だそうです。

 

自分はここまでやる組体操には反対です。というか、やってはいけない。

 

シルクドソレイユでもピラミットや人間タワーをやります。でも彼らは特別なトレーニングを積んだ人達で、しかも二人以上が乗る場合は必ず「ハーネス」を装着します。それぐらい危険性が高い。

 

でもきっと先生方も危険性は認識してるはず。しかし組体操が無くならない。自分はこの原因の一つに「ネタ不足」があるのでは?と考えています。

 

1. 運動会の盛り上がり、という縛り

運動会には盛り上がる「目玉演目」が必要です。保護者や地域の方に運動会を見に来てもらうコトを意識し、先生方も必死に考えています。その中で組体操はピッタリの「ネタ」なんですよね。

 

まず組体操は身体一つで完結します。また人数の制限もありません。そして見栄えが良い。よって組体操は、運動会の目玉演目として取り入れられるのです。

 

組体操と同等に盛り上がる演目って、そうそう無いんですよ。

 

昔は「騎馬戦」や「棒倒し」が目玉演目でしたが、安全面の理由でほとんどの運動会から姿を消しました。どちらも「目玉になること」「身体だけでできる(特殊な道具が不要)」「人数制限がない」の三点が共通しています。

 

「盛り上がる目玉演目はどうしよう?」
「(選択肢が無いし)やっぱり組体操かな・・・。」

 

こんな風に考える先生方が増えているのではないでしょうか。

 

2. 共創空間という教育的価値

もう一つ組体操を続けている理由は「教育的価値」というやつです。組体操のように複数の人間が力を合わせる運動は「共創空間」という教育的な価値があると考えられています。

 

■参考記事:組体操の「共創空間」が生み出す教育的価値

 

たしかに問題のピラミットも全員の協力がなければ完成しませんよね。完成した時の達成感、全員の一体感は素晴らしいと思います。

 

しかし怪我のリスクを忘れてはいけない。「もっと高く」「もっと派手に」のような向上思考に走ると、怪我のリスクと教育的価値のバランスを見失いがちになります。

 

難しい課題ほど達成感は高いでしょう。しかし課題の難しさと危険性はイコールとは限らないんです。

 

3. 新しい目玉演目は簡単に生み出せない

問題になった10段ピラミットでは「危険」「痛み」「非日常」を克服することで団結し、共創空間を生み出しています。自分はこの方法には反対です。達成感と一体感は「危険」や「痛み」以外でも生み出せます。たとえば長縄とかシンクロとか、方法は他にもあるんです。

 

でも本当の問題は学校や先生が忙しすぎて、発案している余裕が無いことだと思うのです。ここにさらに「保護者の期待」や「教員の期待」も加わります。

 

盛り上がる演目が見たい。子どもたちの挑戦する(大人が美し良いと思う)姿を見たい。先生や学校への期待は担当教員のプレッシャーとなります。

 

そもそも、目玉演目を見つけるのは簡単じゃありません。サーカスの人間だって日々考えて捻りだしてるんですから。だからこそ既存のネタである「組体操」に流れやすい。これはある程度仕方のないことではないでしょうか。

 

4. ネタ提供が今後の課題

これから大切なのは「ネタ」の発掘と提供です。盛り上がって、教育的価値(共創空間)があり、かつ子どもが安全に取り組める演目。そう簡単は見つからないと思いますが…。

 

アイディアとして縄跳びの集団演技はオススメですよ。道具はロープだけですし盛り上がります。危険も少ないです。興味のある方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

 

■参考記事:運動会におすすめ!!小学生にも出来る「縄跳び集団演技」4選 – なわとび1本で何でもできるのだ

 

他にも「一般体操」にはネタが豊富です。たとえば筑波大学体操部では「バランスボール」を使った演技を伝統的にやっています。下の映像はかなりのハイレベルですが、この中にも運動会で使える動きがあると思います。

■関連動画:gymnaestrada 2015 univ. of Tsukuba Joint – YouTube

 

また日体大の集団行動も面白いと思います。ここまで緻密に合わせるのは大変だと思いますが、全員での一体感や達成感は「目玉演目」の要素として満点です。

■関連動画:日体大 集団行動 2013特別演技 – YouTube

 

5. おわりに

http://www.flickr.com/photos/14665421@N00/39970581
photo by jasohill

組体操もきちんとやれば危険じゃありません。しかしより刺激の強いモノを求められた時、他種目の選択肢が無いのは危ういです。

 

単一の種目で高度化ばかりしていき「より難しく」「より派手に」へと流れて行きやすい。その結果、危険管理とのバランスが崩れ今回の事故が起きたのだと思います。

 

もっと運動会で目玉になる演目を提案しましょう。ぜひ運動会で縄跳びの集団演技をしてください。

 

体育関係者、体操関係者、そして集団パフォーマンス関係のみなさん。みなさんの知識と知恵が、運動会を安全なモノにしていくと思います。

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記事を書いてる人


縄跳びパフォーマー 縄のまっちゃん
 ※本名:粕尾将一(カスオショウイチ)

全国の学校やイベントで縄跳びをつかったパフォーマンスや出張なわとび教室を行い、子ども達に運動の楽しさを伝え笑顔を引き出す仕事をしています。

【略歴】
全日本チャンピオン、アジアチャンピオン、世界大会6位。2010年よりシルク・ドゥ・ソレイユ常設ショー「La Nouba」に6年間約2500回の長期出演を果たす。