パフォーマンスの哲学

目指すゴールは何度見ても、また見たくなる存在。

こんにちはー。縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

実はパフォーマーって演技構成をあまり変えない人が多いんです。

一つのルーティン*1を作るのには時間がかかります。音楽を選んで振付を作って、振りを覚えてミスを減らして…。一つの演技を完成させるのに何か月もかかるのが結構ザラなんですよ。

ポンポン演技を変えるのは現実的じゃない。よって同じ曲で同じ演技を何年も続ける人が多いんです。

これ、見ている人には残念かもしれませんね。また同じ演技なんだぁ…と。

ただ縄のまっちゃんは、むしろ何度同じ演技を見てもまた見たくなる存在を目指してるんですよ。

新しい、の裏事情

新しいモノを創造し続ける姿勢は重要だと思います。でも新しい演技って何が新しいのかな?と考えると、実際は以前の組み替えだったりするんです。

たとえば単純化して、「二重跳び」と「バク宙」と「リリース*2」の3つで演技を構成したとします。はじめの演技はこの順番で創ったとして、次の演技はバク宙と二重跳びを入れ替えただけ…みたいな演技が実はほとんどなんですよ。

そもそも新しい技や動きを見つけるのは容易な事じゃありません。世界初はメチャメチャ見つけるのが難しいし達成が困難だから世界初なんです。

つまり技や動きの順番を入れ替えたモノを、新しい演技として押し出さざるを得ない事情があるんです。

「技」や「動き」の賞味期限が短い

技や動きを見せる演技は、賞味期限が短い運命にあります。ほとんどの場合は一度見たらおしまい。次回以降は「もう見たからいいや…」になってしまう。この場合、観客は技を見た経験に価値を求めてきてると言えます。

縄のまっちゃんが目指すのは、存在を見ることの価値。「いつも同じような演技をしてるけど、なぜかあの人の演技はたまに見たくなるんだよね。」これが目指してる観客の声です。

そして存在を見るコトに価値があれば、賞味期限が圧倒的に長くなるんです。


技を見る経験に価値 : 一回でほとんど終わり
存在を見るコトに価値: 定期的に見たくなる

存在を見るコトに価値を生み出すためには「惹きつける何か」が必要です。それは独特の空気感だったり、キャラクターだったり。一朝一夕では見つけ出せない、本当の意味での個性が求められます。

この境地に達することができれば、パフォーマーとして長く人前に立つことができるのです。

生み出しの消耗戦

話題になって打ち上げ花火のように観客が集まるパフォーマーもいます。彼らの爆発力や話題性には学ぶ点も多いでしょう。

一方で彼らは一周したらほとんど賞味期限が切れてしまい、再び新しいコト(=技やネタ)を生み出す。このサイクルは最終的に消耗戦に突入してきます。

だからこそ、縄のまっちゃんは「存在」に価値を生み出せるような努力をしているのです。

*1:演技構成のこと、もしくは技の組合せ

*2:ロープを手から放してから再びキャッチする技