なわとびのコツ

「かえしとび」の教え方と練習方法を3つのコツで徹底解説します。


前・前々記事の「二重跳び練習法」「交差とび練習法」もお陰様で引き続きの反響をいただいており、微力ではあるけど、なわとびの練習で悩んでいる子どもたちの元に届きつつあると思う。

全てはこの記事を読んでくださる皆様のおかげなので、この場を借りて感謝を述べたい。

さて、今回はブログにコメントを頂いた「とびまる」様のご要望にお応えする形で、「かえしとび」の練習法について紹介したいと思う。

「かえしとび」とは名前に反して、実はなわとびを跳んでいない。リズムなわとびというスタイルにおいては、最頻出の技でもあり、一部小学校の体育の授業でも扱われている。

かえしとびにはいくつか別の呼称があり、ロープスキッピング競技では「フェイクEB」と呼ばれ、一部地域では「だましとび」や「マリーナ」と呼ばれている。

これらはいずれも同じ動き、同じ技を指しているのだが、地域の先生方や伝統よって命名されたものが脈々と続いているのだと思う。

かえしとびは決して難しい技ではない。ところが複数の課題を一気に行う必要があるため、つまずく子どもの多くは混乱したまま練習を止めてしまう。

さらに二重跳びや交差とびのようなメインストリームの技でもないため、継続的に練習をする子どもが少ないことも、つまずきを増やす要因の一つではないだろうか。

今回はかえしとびの課題を3つの動きに分類し、それぞれの練習方法や注意点をまとめた。細部にこそ神は宿ると言われる。ロープスキッピング競技においても、「かえしとび」の上手な選手は縄操作が上手いように感じる。

== 目次 ==
はじめに
動きの流れを覚える
 前とびの姿勢になる
 なわとびを身体の前(正面)にもってきて、片腕を背中で交差
 正面にある腕を回転させる
 背中にある腕を横に開いて、前とびの姿勢に戻っていたら完成
かえしとびの後ろに挑戦する
 後ろとびの姿勢になる
 なわとびを身体の後ろ(背面)にもってきて、片腕を背中で交差
 正面にある腕を回転させる
 背中にある腕を横に開いて、後ろとびの姿勢に戻っていたら完成
注意点
 焦って縄を回そうとしない
 身体の前に持ってくるのを忘れない
 縄の流れを丁寧に追う
終わりに・参考ページ

動きの流れを覚える

「かえしとび」では、ひとつずつの動きを分解して練習するといい。パッと見たところ一続きの技のように見えるが、中には3つの動きのポイントがある。

前とびの姿勢になる

まずは前とびの姿勢になる。なわとびを足の後ろに構えた姿勢だ。意外にも多いミスの1つに、始まりの姿勢が違っていることがある。かえしとびも前まわしの場合は前とびの姿勢、後ろ回しの場合は後ろとびの姿勢から入ろう。

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なわとびを身体の前(正面)にもってきて、片腕を背中で交差

次になわとびを身体の前(正面)に持ってくる。なんだ、どうせ前に持ってくるなら、最初から前にしておけばいいじゃないか?と思った方。

ごもっともな意見だが、この「なわとびを前(正面)にもってくる」動きも、かえしとびの一部なのだ。ここを抜かしてしまうと「かえしとび」を途中から始めることになり、習得に余計な時間がかかる。

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正面にある腕を回転させる

この動きが「かえしとび」の最大のポイントだ。背中にある腕をそのままに、正面で自由になっている反対の腕を「内回しで回転」させる。

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この時、注目するのは「なわとびの位置」だ。

腕を回転させる前はなわとびが「つま先の前」にあると思う。これが腕を回転させた後、なわとびは「カカトの後ろ」に移動する。

この腕回しが難しくイメージで、「シャツを脱ぐように」や「頭上でものを回すように」と表現される。一度感覚と流れを掴んでしまえば、小学生にもすぐに出来るようになる。

背中にある腕を横に開いて、前とびの姿勢に戻っていたら完成

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最大のポイントを超え、なわとびは「カカトの後ろ」にあることだろう。あとは単純に両腕を開けば、最初の前とびの姿勢に戻っているはずだ。

お気づきの方も多いと思うが、かえしとびは最後に前とびの姿勢で終わる。ゆえに練習の最初で無駄とも感じる「前とびの姿勢からなわとびを前にもってくる」という動作を入れたのだ。

あとは前とびの姿勢に戻ったところから、これまでの動きを繰り返せばいい。

かえしとびの後ろに挑戦する

次はかえしとびの後ろ回しに挑戦してみよう。動きは前後が反対になるが、練習の流れは同じだ。
ゆっくり順序立てていけば難しくはない。

前まわしのかえしとびが出来たならば、比較をしながら練習をしてほしい。

後ろとびの姿勢になる

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最初はお約束、後ろとびの姿勢になろう。前まわしのかえしとびと同様に、なわとびを後ろとびの姿勢から回す動作も技の含まれるので、決して省いてはいけない。

なわとびを身体の後ろ(背面)にもってきて、片腕を背中で交差

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流れは同じである。後ろとびの姿勢から、身体の後ろになわとびを回そう。そして片方の腕を背中にくっつけ、交差の姿勢になる。

余談だが、この姿勢は前まわしのかえしとびにおいては、背面の腕を開く直前の姿勢と同じである。

正面にある腕を回転させる

最大の難関である。後ろ回しの場合は、腕を背後に向けてまわすようにする。なわとびが「つま先の前」に移動したら成功だ。
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背中にある腕を横に開いて、後ろとびの姿勢に戻っていたら完成

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ここも前まわしと同じ流れで、なわとびがつま先の前に移動してきたら、ゆっくり腕を開いて後ろとびに姿勢になり完成だ。

腕の動きや流れは前まわしと同じだが、後ろかえしとびの方が「腕を回転させる」動きが難しい。

注意点

焦って縄を回そうとしない

かえしとびで一番多い失敗例が、焦って動きを見失うことだ。今回紹介した練習法でひとつずつの動きを分解したのは、焦って動きを見失わないようにさせる意図もある。

かえしとびの練習初めで「ひゅん」という風切り音はしない。仮にこれらの音が聞こえたら要注意、ゆっくり手順を踏むことを思い出そう。

身体の前に持ってくるのを忘れない

くどいが、前とびの姿勢から身体の前(正面)になわとびを持ってくる動作を忘れないでほしい。
(※)後ろ回しの場合は後ろとびの姿勢
それほどにこれまで、この動作を抜いていたことでの失敗を見てきた。

なわとびの流れを丁寧に追う

「かえしとび」をある程度習得した所で起きるのが、身体へのなわとび接触だ。技の構造上、なわとびを斜めに回旋させるため、他の技よりも身体に接触しやすい。

これを防ぐには「なわとびを付ける場所」に気を付ける。片方の腕を背中に持っていく動きの中で、なわとびが側面を通過する場面がある。この場面で、なわとびが身体から大きく離れた場所を通過していたら注意しよう。

身体の遠くを通ると、次に戻ってくる時には身体に近すぎる結果になる。腕を背中に持っていく動きの中で、あまり強くなわとびを振り過ぎず、丁寧に流れを追うように意識しておこう。

終わりに・参考ページ

いかがだっただろうか。

メインストリームの技でこそないが、取得すれば動きのバリエーションが格段に増える。しかも「二重跳び」や「あやとび」より、集団で合わせるのに適している技である。

たとえば「運動会のなわとびを使った集団演技」などにはピッタリだろう。

「なわとび」と言えば早く回して高く跳ぶもの

そんな先入観を捨て、あなたにも新たな「なわとび」の可能性に触れて頂きたい。

なお、かえしとびの流れを口頭で説明した動画も公開しているので、こちらもご参照いただきたい。

かえしとびの練習方法 前まわし編
http://www.youtube.com/watch?v=nGxFoTX935E

かえしとびの練習方法 後ろ回し編
http://www.youtube.com/watch?v=uJYU5YrbszY